過去の失敗から福利厚生には慎重だった
まずは御社の事業内容と、今回のサービス導入前の状況についてお聞かせください。
弊社は、人材紹介と採用コンサルティングを中心に、「人」に関わる事業を展開しています。人材紹介では、20代を対象としたキャリア支援サービス「キャリてら」を運営し、採用コンサルティングではSES企業を中心に採用支援を行っています。平均年齢は26〜27歳と若く、活気にあふれた組織です。
ただ、福利厚生の導入には慎重でした。これまでにいくつかの施策を試したものの、うまくいかなかった経験があったからです。
過去に導入した福利厚生にはどのような課題があったのでしょうか
よかれと思って始めた施策が、結果的にルール作りや人間関係の摩擦を生むきっかけになってしまったのです。例えば以前、健康志向の社食サービスを3か月間お試しで導入したことがありました。最初は従業員にも評判が良かったのですが、次第に日常の一部となり、特別感がなくなっていきました。
さらに運用ルールの設定にも苦労しました。自由に商品を取れる仕組みだったため、「1人2個まで」と制限を設けたのですが、「〇〇さんが3つ取っていましたが大丈夫ですか?」といった報告が上がるようになり、その都度対応する負担が増加していったんです。。
他の制度でも同様の課題がありました。例えば、利益が上がったタイミングでインセンティブキャンペーンを実施した際に、「なぜ今月からなのか」「先月の成果は対象外なのか」といった不満が出てしまったことがあります。
これらの経験から、最終的には「何もしないほうが平和かもしれない」という考えが社内に根付いてしまったんです。
そうした中でも、従業員の健康面では気になる点があったということでしょうか。
はい。特に運動不足が目立っていました。弊社は競争意識を大切にする文化があり、みんな目標達成に向けて集中して働いています。その反面、長時間同じ姿勢で仕事をしてしまうことが多く、運動習慣を持つのが難しい環境でした。
「ウェルストレッチサービス」導入前に、弊社が実施したRYOMA従業員へのアンケート結果も印象的でした。回答者の76%、つまり4人に3人が「肩こりや首の痛みを感じている」と答えていたんです。さらに、症状を感じる頻度についても「月の半分ほど」と回答した方が多く、長時間のデスクワークが想像以上に身体への負担となっていたことがうかがえます。
シンプルな運用と従業員への配慮が導入の決め手になった
過去の経験から、「ウェルストレッチサービス」を導入する際に、不安はありませんでしたか。
多少の不安はありましたが、今回は仕組みがとてもシンプルだったため、安心して始められました。以前導入した福利厚生では、ルールづくりや管理の手間が大きな負担になっていましたが、このサービスはスプレッドシートで予約をして、時間になったら施術を受けるだけです。とても分かりやすい仕組みであり、トラブルや管理の手間も少ないだろうと感じました。
ご自身の関心も、導入の後押しになったのでしょうか。
そうですね。私自身、日常的にマッサージや整体を利用していて、体を整えることの大切さを実感していました。だからこそ、「このサービスなら従業員にもきっと喜んでもらえる」と思い、導入を決めました。
従業員が利用しやすい環境であることも、導入のポイントになったのでしょうか。
その点も大きかったです。弊社は、従業員が常に高い集中力で仕事に取り組む文化があります。そのため、仕事終わりにジムへ行くなど、意識的に体を動かすことがなかなか難しい状況でした。
このサービスは、業務時間中にオフィス内で施術を受けられるのが特長です。私自身も「遠慮せず積極的に利用してほしい」と伝えていますので、従業員も気兼ねなくリフレッシュできるようになりました。
公認の休息時間を設けることで、体のケアだけでなく、気持ちのリセットや仕事への前向きな姿勢にもつながっていると感じています。
満足度93%を達成し従業員間の新たなコミュニケーションが生まれた
実際に従業員の方々からは、どのような反応がありましたか。
「集中力が上がった」「長時間のデスクワークによる疲れが軽くなった」といった声が多く見られました。その結果、「仕事の質が上がった」「気持ちが安定した」という感想も増えています。
また、「会社に大切にされていると感じた」「モチベーションが上がった」「この会社で長く働きたいと思えた」といった声もあり、従業員の意識や姿勢にも良い影響が出ていると感じます。
利用後のアンケートでも、満足度は93%、継続利用の意向は100%ととても高い結果でした。
身体面では、「サービスを受けて体の変化を感じた」と答えた人が90%に上り、「肩こりや腰痛が軽くなった」という声が多く寄せられました。実際に、症状を感じる日数が月平均で2日ほど減ったというデータも出ています。さらに、「仕事から少し離れる時間ができて気分転換になった」という声もあり、心のリフレッシュにもつながっているようです。
「ウェルストレッチサービス」を利用した出雲さん:
私は長時間座っていることによるむくみや下半身の疲れの悩みがあり、約2か月間の導入期間で、毎週通っていました。トレーナーさんから「もしかしたら、出雲さんストレッチだけではなく、一定のトレーニングも合っているのかも」とアドバイスを受けたことをきっかけに健康意識が高まり、ジムに入会。運動習慣を付けるきっかけになりました。
阿阪様ご自身としては、どのような効果を実感されましたか。
私自身も施術を受けましたが、肩や脚を丁寧にほぐしてもらったことで姿勢が整い、巻き肩が改善された感覚がありました。施術後は気分もすっきりし、その後の打ち合わせにもより前向きに臨めました。また、思わぬ効果として「会話が生まれる」という点も感じています。
「会話が生まれる」というのは、具体的にどのようなことでしょうか。
一つは、施術スタッフを通じて従業員の様子が分かるようになったことです。例えば、施術スタッフに「最近疲れている方はいましたか?」と聞くと、「〇〇さんが少しお疲れのようでした」と教えてもらえることがあります。こうした第三者の視点で、従業員の状態を知ることができるのは、経営者としてとても助かります。
もう一つは、従業員同士の会話が自然に増えたことです。施術の感想を話したり、「〇〇さんは体が柔らかい」「〇〇くんは前屈が全然できなかった」などと笑い合ったりして、職場の雰囲気が和やかになりました。これまでになかったリラックスしたコミュニケーションが生まれたことは、大きな成果だと感じています。
従業員の成長を可視化し健康経営を推進する
「ウェルストレッチサービス」は、どのような企業に向いていると思いますか。
従業員にできるだけ長く、健康的に働いてもらいたいと考えている企業には、とても合っているサービスだと思います。特に、私たちのように一定の人数がいる会社では、健康面だけでなく、社内コミュニケーションの活性化という面でも効果を実感しやすいと思います。
アンケートでも「この会社で長く働きたいという気持ちが強くなった」といった声がありました。弊社は創業5年目のまだ若い組織で、挑戦や変化を大切にする文化があります。一方で、安定した職場づくりを目指す企業や、従業員の定着率・エンゲージメント(会社への愛着や貢献意欲)を高めたい企業にとっては、より大きな効果を発揮するサービスだと思います。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
これからも人材分野を中心に事業を広げていく予定です。TikTokやYouTubeといったメディアを活用し、「採用や転職といえばRYOMA」と認知してもらえるようなブランドを築いていきたいと考えています。そのためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、高いパフォーマンスを維持できることが欠かせません。今回の取り組みは、そうした「健康経営」を実現するための大切な一歩になったと感じています。